Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
「そんな感じってなんだよ」


聡さんはお姉ちゃんに近付くと、後ろからお姉ちゃんの肩に自分の顎を乗せる。

妹が目の前にいるのに遠慮もしない聡さんに、お姉ちゃんは照れながら距離を取る。


「なんか、大人だ…」


多分こういうのは二人にとって日常なんだろう。

あまりのスマートなイチャイチャシーンに少女漫画を見ている気分になる。


「えぇ？なに言ってんの！」

「なんか美月の妹初々しくて可愛いな」

「余計なこと言わなくていいから！
椅子に座って大人しく待ってて！」


お姉ちゃんは野良犬でも追い払うように手でシッシッと邪魔者扱いする。

聡さんはつまんなそうにしながら、大人しく椅子に座って朝ごはんが出来るまで携帯を触り始める。


「お姉ちゃん、流石に目玉焼きを積み重ねて置くのは見栄え悪くて雑だよ」

「綺月こそトマトのヘタくらい取ってよ」

「見栄え重視のために緑も入れたんだよ」

「レタスときゅうりで十分だから」


少々痴話喧嘩しながらも朝ごはんを作り終わると、お姉ちゃんは雑魚寝している男達を、足で蹴りながら起こしていく。
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