Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
お姉ちゃんって家にいた時は凄く我慢してたんだなと、素で笑っているお姉ちゃんを見て改めて思った。


「幸せそう…」


腹を抱えて笑っているお姉ちゃんに、私は思わず本心を口に出す。


「俺が幸せにした」


聡さんは目玉焼きを食べながら、自分がお姉ちゃんを幸せにしているんだと独占欲を見せる。


「もしかして、あの日バイクを運転してたのはあなたですか?」


お姉ちゃんが家を出た日、誰かのバイクの後ろに乗って消えていったことを思い出した。


「お前は怒るだろうけど、俺は美月をあの家から遠ざけたこと間違ってたとは思わない」


一点の曇りもないその目が、お姉ちゃんを救うことだけを考えて行動してくれたのだと教えてくれる。
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