Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
「……え?」

「ずっと突っ立って動かねぇから、なんか俺たちに用でもあんのか?」


見覚えのあるその綺麗な容姿に、またあの時みたいに心臓が跳ねる。

やっぱりあの真っ黒なバイクは、ファミレスで見たバイクなのだと男の顔を見て確信に変わる。

男は袋を手に持っていて、その中には色んな食べ物や飲み物が入っているようだった。


「なに?遊んでやろうか?」


何も言わない私に、男は面白がってそう言った。


「誰が…」


あんたたちなんかと───

私は、教科書が大量に入った重たいカバンを肩にかけ直すと男から逃げるようにまた歩き出した。

なんで私があんな奴らと遊ばなきゃなんないのよ。

自分が苛立っていることが足音から分かった。
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