Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
自分のことで彼らにも迷惑をかけてしまった。

理由くらい話すのが道理だと思った。

私はお姉ちゃんが淹れてくれた紅茶を一口飲んでから、続きを話し始める。

お姉ちゃんが出て行った時の泣きじゃくる母を見て、自分がお姉ちゃんの代わりになると言ったこと。

お姉ちゃんが歩いたレールの上を踏み外さないように必死で歩いていたこと。

私がお姉ちゃんを必死で遠ざけ、わざと嫌いになるように仕向けた理由。

母との討論で家を飛び出し、カオルの家に居候させてもらっていたこと。

出来るだけ簡潔に、出来るだけお姉ちゃんが負い目を感じないように軽い感じで話をした。

お姉ちゃんは何も言わず、私の話を最後まで聞いていた。

これから先、誰にも伝えることは無いだろうと思っていた。

ずっと母の期待に応え続けるのだろうと、真っ暗闇を歩く自分はそう思っていた。

でももう、勉強でいっぱいいっぱいになる自分も、母の顔色を伺う自分もうんざりだ。

その日、私は自分のことを話して気が楽になった。

お姉ちゃんも彼らも、頷くだけで何も言わなかった。

各々が色んな表情をしていたが、私だけはやっと解放されたのだと清々しい顔をしていた。
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