Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
「綺月」


名前を呼ばれ振り返ると、制服を着た菜穂が気まずそうな顔をして立っていた。


「ここにいたんだね」


私は朝にお姉ちゃんに全てを話終えると、気を紛らわすように溜まり場を探索して屋上があるのを見つけた。


「ここ、本当に何でもあるね」


建物自体はそんなに高くないが、溜まり場にしているこの工場は坂の上にあるためか空に近く、上から街を見下ろせることが出来て景色は綺麗だった。


「自分に居場所がない人達が集まって暮らせるような溜まり場にしたの」


菜穂は本当にAgainのことをよく知っているようだった。


「菜穂がみんなに連絡してくれたんでしょ?」


お姉ちゃんは菜穂がAgainのメンバーを頼ってくれたからすぐに私を見つけられたのだと言っていた。
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