Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
「ありがとう」


お礼を言うと、菜穂は両手で顔を隠した。


「え?どうしたの?」

「……綺月、もう私と話してくれないと思った」


菜穂は泣いているのか声が震えていた。


「どうして?」

「だって私ずっと黙ってたし、学校でも知らないフリしたから……」

「それは、私が不良のこと良く思って無かったから言えなかっただけでしょ?私にも非があるし」

「それでも言うタイミングはいつでもあった。
でも言えなくて、綺月が私から離れちゃうんじゃないかって怖くて……ごめん……」


黙っていることに罪悪感を感じて、私を騙しているのではないかと自分を責めて、でも話したら私は菜穂の前から消えてしまう。

話したいけど話すのが怖いという矛盾と菜穂は一人で闘っていた。
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