Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
目が覚めると、カーテンの隙間から光が差していた。


「勉強しながら寝ちゃったのか」


私は起きると、お風呂に入り、冷たくなったご飯を温め直して冷たい椅子に座りそれを淡々と食べた。

家を出ると、強い日差しに目を背ける。

春とは思えない暑さにやられながら、私は学校に向かう途中、ふと公園で立ち止まった。

昨日あれだけ騒いでいた公園は朝になると静かになっていた。

彼らはもういないし、ベンチに乱雑に置かれていた空き缶も綺麗に片付けられていた。

本当は昨日の夜、不良がいたのは幻だったんじゃないかと思うくらいいつも通りの公園だった。


「私も乗ってみたいな、バイク」


いや、いやいや何言ってるんだ私！


「何だバイクに乗りたかったのか？」

「うわああ！！」


突然耳元で声が聞こえて、私は飛び上がって驚く。


「お前朝からうるせぇな」

「…は？」


目の前に立っている男は、確かに昨日私に話しかけてきた男だった。

昨日の暗さでも分かるほどの綺麗な顔立ちは、明るいところではより一層かっこよく見えた。

私の頭一個分くらい高い身長と大人びた表情に、自分よりも年上かなぁと感じる。
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