Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
明らかに好きでしょ

もう季節はすっかり夏真っ只中で、毎日太陽が元気に仕事をしていた。

私がカオルの家に住み始めてからあっという間に二ヶ月が経った。

母からの連絡も未だ来ておらず、どうしてるのか心配だと一度本音を漏らすと、カオルは「子供を大事にしない親なんてほっとけ」と言われた。

母は私とお姉ちゃんを散々苦しめたけど、未だ学校からも何も言われないということは、学費はいつも通り払ってくれていることになる。

そのうち学校にも行けなくなるだろうと覚悟はしていたのに、一体母は何を考えているのだろう。


「綺月、弁当忘れてんぞ」


そんなことを考えていると、大事な弁当を忘れそうになる。


「あー忘れてた、ありがとう」


カオルは珍しくバイトが休みで、朝から優雅にコーヒーを飲んでいた。

いってきますと挨拶をして、私は奈都と一緒に家を出る。
< 185 / 401 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop