Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
明らかに好きでしょ
もう季節はすっかり夏真っ只中で、毎日太陽が元気に仕事をしていた。
私がカオルの家に住み始めてからあっという間に二ヶ月が経った。
母からの連絡も未だ来ておらず、どうしてるのか心配だと一度本音を漏らすと、カオルは「子供を大事にしない親なんてほっとけ」と言われた。
母は私とお姉ちゃんを散々苦しめたけど、未だ学校からも何も言われないということは、学費はいつも通り払ってくれていることになる。
そのうち学校にも行けなくなるだろうと覚悟はしていたのに、一体母は何を考えているのだろう。
「綺月、弁当忘れてんぞ」
そんなことを考えていると、大事な弁当を忘れそうになる。
「あー忘れてた、ありがとう」
カオルは珍しくバイトが休みで、朝から優雅にコーヒーを飲んでいた。
いってきますと挨拶をして、私は奈都と一緒に家を出る。