Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
教室に着くと、菜穂が暑さにやられぐったりとしていた。


「おはよう、菜穂」

「…はよう」

「本当暑さに弱いよね」

「夏のイベントは好きだけど、やっぱり暑いのは無理」


確かに、去年の夏休み充実してたみたいで、凄く日焼けした状態で学校に来てたなと思い出す。

菜穂は「学校の空調ってもっと下がらないの?」と文句を言いながら、椅子の上に立って空調の真下で風を浴び出す。


「ちょっと、怒られるよ」

「待って」

「…何が?」

「ってことは、今年の夏休みは綺月と遊べるってこと!?」


母から解放され、夏休みに毎日塾に行かされることはもう無い。


「ねぇ、菜穂」

「何!?どこか行きたいとこある!?」

「夏休みは宿題山ほど出るって知ってる?」

「ぐはっ」

「夏休み終わったらすぐにテストがあるって事も知ってる?」

「ぐはっ、ぐはっ」

「そんなに遊んでる暇は無いんだよ」
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