Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
菜穂は私の正論すぎる言葉に、殴られたように痛がった。

それに、奈都にとって夏休みは大事な時期になる。

家庭教師を引き受けている以上は遊んでなんかいられない。


「でもさ、時には気分転換も必要でしょ?
行きたいとこあるなら連れて行くよ!」


確かに私にとって夏休みは勉強から一切逃げることの出来ない苦痛な時間だった。

もちろん夏休みが楽しかったと思ったことは一度も無い。

でももう、今は自由だ。

どう過ごそうが誰にも責められることは無いし、やっと堪能できる夏休みなのだ。

人並み程度には夏休みを楽しみたい。

きっと奈都も気分転換はしたいはずだ。


「分かった、考えてみる」


そう言うと、菜穂は満面の笑みで親指を突き上げグーサインを出した。
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