Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
「なんだその顔、俺のこと覚えてねぇのか? 昨日もここであっただろ」


男の顔を凝視するばかりで黙っている私を見て、昨日会ったことを忘れていると男は勘違いしたのか、ムッとした表情をする。


「知らないし、人違いじゃないですか?」

「その制服、頭いい学校だろ?」

「だからなんですか?ていうか付いて来ないでください」


私は必死に早歩きで男を撒こうとするが、男の長い足には敵わずすぐに追いつかれてしまう。


「バイク乗りたいんじゃねぇの?」

「乗りたくないです」

「さっき言ってただろ」

「聞き間違いです」

「俺、今日間違いだらけだな」


しつこいな、なんなのこの男…


「送ってやろっか?学校まで」

「いえ結構です」

「遠慮すんなよ」
< 19 / 401 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop