Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
一学期が終わり、夏休み期間に入った。
相変わらず太陽は見せびらかすように光を放っていて、うだるような暑さが私を苦しめる。
夏休みは主に奈都の勉強を見て、空いた時間に菜穂に連れられてAgainの溜まり場を訪れる。
休み期間に入ったからか、Againの溜まり場には女の人が強い香水を振り撒きながら一日中Againのメンバーと戯れていた。
基本的に女の人は二階を使うことが許されているためか、その香水の匂いは二階まで充満していた。
鼻がもげそうで私は逃げるように屋上で仕方なく時間を持て余す。
こんな暑い中、外で長時間じっとしているのはあまりにも苦痛で、適度に水分補給をしながら流れる雲を飽きることなくずっと見ていた。
その時、ドアが鈍い音を立てながら開く。
「やっぱここにいた!何で暑いのに外にいるのよ!」
菜穂が強い日差しに目を細めながら私に近寄る。
「だってうるさいし、匂いがきついし、私あんまり良く思われてないみたいだから」
真昼間から酒を飲んで馬鹿騒ぎしているし、女の人の香水の匂いも甘ったるい媚びを売るような声もきつい。