Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
私はルームミラー越しに一喜さんの顔をじっと見ていた。


「そんなじっと見るほど俺の顔好きなの?」


そういえば、この人ちょっとナルシスト入ってる痛い人だったのを思い出し、私はそっと視線を逸らした。

暫くすると、一喜さんが車を駐車場に止める。


「着いたぞ」


そう言われ車から出ると、人の賑やかな声と美味しそうな匂いがしてくる。

車に乗ってかれこれ二時間で海に到着し、遠くはないがやっぱり頻繁に行ける距離ではなかった。

周りには既に無数のバイクが散らかっていた。


「この坂下りると海だぞ」


海はまだ私達には見えず、奈都が早く行こうよと私に手を伸ばした。

私はその手を握って走って坂を下りると、一面の青い海が私達の視界を奪う。


「海だ」

「海だー!!」


水着を着た人達が海でプカプカと浮いていて、かと思えば砂浜の上に寝転がって肌を焼いている人もいて、家族連れも沢山いた。
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