Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
「おい、てめぇ何してくれてんだよ!」


もう一人の男が怒りを露わにし、勢いつけて振り上げた拳をカオルは軽々と手で受け止めると、その状態のまま腕を捻りあげる。

痛い痛いと声を上げる男に、カオルは舌打ちをする。


「お前ら誰だよ」


いつもより低い声と殺気に、私はカオルと初めて話した時、公園の前で怒らせた声のトーンに似ていることに気付いた。

これは完全に怒っている。


「初めて見る顔だな」

「…え?」


でも、この男達、確かにカオルの名前を知っていた。

カオルは知らないのに、彼らは知っていることに疑問が湧く。


「誰だか言えよ」

「いいから離せよ!」

「言わねぇと骨折るぞ」


えっ!

私は骨を折られたことを想像して、勝手に痛がり口を手で押さえる。
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