Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
カオルはすぐに追いかけようとしたが、その男達とは正反対に逃げて行った女達の方に向かって、私が歩き始めるので渋々足を止める。


「あの女、やっぱり殴る」

「おい待て待て、なに追いかけようとしてんだよ」

「殴りに行くのよ」


完全に私に対する復讐だと理解すると、さっきまでの恐怖は一気に飛んで今度は怒りが湧く。


「何でそんなに怒ってんだよ、何かあったのか?」

「だって、あの女達…!」


感情に任せてつい口が滑りそうになり、慌てて途中で抑え込む。


「だって、なんだよ?」

「いや、別に」

「は?別にって何だよ、何かあったんだろ」


自分のことを価値があるだとか無いだとか、自分がいないところで言われているのは誰だって良くは思わない。

聞いても損しかない話をしたところで意味は無い。
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