Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
私はどうやって話を逸らそうかと考えていると、カオルが突然私の頬に触れる。


「…なんか腫れてないか?」


一喜さんが買ってくれた飲み物で充分冷やしたはずの頬は、夏の暑さによってまた赤みがぶり返していたことに私は気付いていなかった。


「あの男達に何かされたのか?
それとも、あの女達か?」


カオルは自分が殴られたかのように顔をしかめて痛がっていた。


「言えよ、誰にやられたんだよ」


答えてくれるまで解放してくれそうにないカオルに私はゆっくりと息を吐いた。


「ただぶつけただけだよ、誰にも何もされていない」


私は嘘をついた。

ただぶつけただけだ、自分でドジを踏んでしまっただけだ。

そう言うと、カオルはあからさまにホッとして肩を落とす。


「…なんで」

「…ん?」

「なんでそんな顔するの?」


なんでそんな心底心配したように私を見るの?
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