Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
「こっちだ」


私が近寄った彼らはカオルとは何の関係もないのか、雪希は全く逆の道へと私を引っ張る。


「カオル見つかったの?」


雪希は答えずにどんどん先に進む。


「ねぇ!雪希!」


割と大きい声を出した瞬間、雪希は足を止めた。

私は顔を上げ、雪希が見つめる先を目を凝らして見る。


「カオルの名前を呼んでくれ」

「…え?」

「呼ぶだけでいいんだ」


電話でも言ってたけど、カオルの名前を呼ぶだけで良いって何なんだろう。

私は雪希の言葉に引っかかったが、早くカオルに会いたくてとりあえず頷いた。


「この角を曲がったらカオルがいる」

「雪希は行かないの?」

「みんながいるから大丈夫だ」

「雪希は?」
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