Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
あまりにも悲しそうに雪希が言うので、私も悲しくなる。

そんなことはないはずだ、きっと聞こえていた。

だけど、それはカオルにとっては雑音と一緒に紛れ込んでしまっただけだ。


「でも、綺月ちゃんは違った」


私がみんなとは違う?


「カオルにとって、綺月ちゃんは特別だ」


特別って、他の人とは違う別枠みたいなことだよね?

私はカオルにとっては別枠ってこと?

それは良い意味で?悪い意味で?

そもそも特別って良い意味で使ってた言葉だっけ?

私は特別という言葉を辞書で今すぐ調べたくなった。

そんな私を置いて、雪希が続ける。


「気付かない?
綺月ちゃんがカオルって呼ぶ時、アイツ凄いホワホワなオーラ出すんだよ」

「…ホ、ホワホワ?」

「気持ち悪いくらい分かりやすいよ。
気付いてないのは綺月ちゃんだけだよ」


そう言われ、私は菜穂、幸人、海斗の順で顔を見る。

三人とも気付いていたのか、菜穂は困ったように笑って、幸人はコクリと頷き、海斗は顔を引きつらせながらそっぽを向く。
< 293 / 401 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop