Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
「ほら立て、今から行くぞ」

「あ?どこにだよ」

「バイトの面接だろうが」

「俺負けたじゃねぇか」

「別に勝とうが負けようが鼻から教えるつもりだったしな」

「はぁ?じゃあなんで喧嘩させたんだよ!」

「喧嘩すれば大体分かるだろ、人となりが」


聡は初対面から変わってる奴だった。

紹介され入ったAgainは驚くほど居心地が良かった。

訳ありの不良も何人かいて、自分の家庭環境にあまり干渉してこないところが、自由で伸び伸びと出来た。

信用出来る仲間もできて、気付いたら離れ難い存在になっていった。

それと同時に、怖くなった。

両親を失った悲しみを味わった俺は、もう誰のことも失いたくはなかった。

そんな気持ちを味わうなら、いっその事大事な人も大切にしたいものも、何も作らないし要らない。

誰のことも深くは干渉しない、浅くて軽い関係でいるつもりだった。

Againもすぐに離れられるように、依存しては駄目だと自分に言い聞かせ一定の距離をあけた。
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