Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
「綺月が、どうしようもないくらい欲しい」


例え、この先綺月が離れたとしても、全部あげると言った意味が異性の好きでなくても、そばに居てくれるなら俺の全部をお前にやる。


「それってさ、好…」


綺月が口にした時、タイミング悪く綺月の携帯が鳴る。

話は一時中断し、綺月は俺から離れると美月からの着信に出る。


「あっ、綺月?カオル見つかった?」


美月の声が大きいのか、耳を澄まさなくても携帯越しから何を言ってるのか聞こえてくる。


「あー見つけた」


綺月が横目で俺の顔を見て、美月の問いに答える。


「本当!?どこ!?」

「今から言うところまで迎えに来てくれない?
雨で濡れて服ビショビショなんだよね」

「分かった」


美月に位置情報を送ると、すぐに電話は切られた。


「みんなに迷惑かけたんだからちゃんと謝るんだからね」

「…分かってる」

「それと奈都にもね!」

「それも分かってるって」


さっきまで良い雰囲気だったのに、美月の電話によって現実に引き戻された綺月は、母親みたいなことを言ってくる。


「あと」


綺月は下を向いて、あからさまに俺を視界に入れないように言葉を続ける。
< 335 / 401 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop