Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
お姉ちゃんにまた会えたら、話したいことが沢山あった。

聞いてもらいたいこと沢山あったの。


「大事な受験すっぽかして、家中滅茶苦茶にして、家族壊しておいて、こんな場所で何してるの?」


でも、もうその望みは叶わない。

いやもういっそうのこと叶わなくていい。

だから、お姉ちゃんは戻ってきたらダメ。


「家族捨てて、こんな馬鹿な頭してバイク乗り回してる喧嘩しか脳のないクズ達と一緒にいる選択をしたなんてありえない!」


────バチン

その瞬間、お姉ちゃんは私の頬を叩いた。

痛かった、あまりにも痛くて涙が零れそうだった。


「私のことは何とでも言っていいけど、彼らのことを侮辱することだけはいくら綺月でも許さない!」


お姉ちゃんの手は怒りで震えていて、こんなにもムキになるほど彼らのことを愛しているのだと分かる。

この場所を大事にしていて、彼らを信用しきっているお姉ちゃんは、私の知らないお姉ちゃんになっていた。

やっと手に入れたお姉ちゃんの幸せは、この場所だった。

それを知れて嬉しくもあり、寂しさもあった。
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