Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
バイクに乗ってあっという間に消えていく彼らを見送りながら、私は男の瞳が頭から離れなかった。


「綺月!見て~!これ何味と何味混ぜたと思う!?」


菜穂の声に我に返ると、慌てて彼らを頭から消し去る。

そんな私をよそに、菜穂が席に戻ってきて早々バカな質問をしてきた。

彼女が持つコップには、毒々しい色の飲み物が入っていて、思わず目を見開く。

見るからにマズそうだ。


「えっ、混ぜたの?」

「飲んでみる?」

「絶対に嫌!私はアイスティーって言ったじゃん!」

「えへへ、じゃあ私が飲みまーす!」


菜穂はそう言って私の前にアイスティーを置くと、その毒々しい色の飲み物を口に入れる。

次の瞬間、彼女の顔からいつもの屈託のない笑顔が消えて真顔になる。

あっ、やっぱりマズいんだ……。


「我ながら最悪の組み合わせだった」

「なにを組み合わせたの?」

「メロンソーダと烏龍茶」

「…アホなの?」

「面白い味になるかなっていう好奇心でつい」


菜穂はマズいマズい言いながらも、全てを飲み干した。

菜穂といると、ぐちゃぐちゃに考えていることがバカらしく思えてくる。

菜穂はよっぽどマズかったのか、すぐにドリンクバーに向かい、普通のジュースを注いでからその場ですぐにコップ一杯飲み干していた。

そんな姿に、また笑みが零れた。
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