Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
感情でもっとも厄介だったのが嫉妬や欲望だった。

"この人だけずるい"
"なんでお前だけ"
"私もやりたかったのに"

そんな感情が渦巻く中、容姿も言動も派手だった私はある女子の逆鱗に触れた。

"出しゃばってんじゃねぇよ!派手女!"

自分が一番注目されたい彼女にとって、派手で目立つ私が邪魔だったのだ。

あっという間に私はイジメの対象になった。

それは三年間ずっと続いた。

そして三年間両親にずっと隠し続けた。

その期間に私は、現実から逃げるように夜の街をブラブラし、しつこい不良に絡まれているところをたまたまカオルたちが助けてくれた。

「いつもこの公園でバカ騒ぎしてるから暇なら来たら?」というカオルたちの誘いに、仲の良い友達もいなかった私はその言葉に甘え、入り浸るようになった。

カオルたちは暴走族のメンバーだと名乗るだけあってケンカは凄く強かった。

他の不良と比べ、頭一つ、いや二つ三つは抜きん出ていた。

Againの名前が知れ渡り、カオル達が一目置かれるようになった頃、このままでは置いていかれると思った私は、最後の最後に抗ってみせるように有名進学校の高校を受験した。

そこは勉強だけが優位に立てる場所だった。

勉強が苦手な私がそんなところに入学したところでついていけるはずも無く、あっという間に底辺になった。

そんな中、私の目の前に綺月というカッコよすぎる女の子が現れた。

勉強が出来ない私のことを馬鹿にするように笑う教師に向かって綺月は言った。

"大の大人が、ましてや教育する側がそんなんで恥ずかしくないんですか?"

その言葉を聞いて、胸が高鳴った。

私は絶対この子と友達になりたいと強く思った。
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