Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
未だ信じられなかった。

そんな偶然で全てが繋がってしまうなんて……。


「だからあんなに体調悪そうだったのか……」


自分のテスト勉強と並行で奈都ちゃんの勉強も見てあげるなんて、そんなの身体壊すに決まってるのに。


「そこまで体調悪そうだったのか?」

「うん、テスト期間中も体調悪そうで、すぐに結果が貼り出されるんだけど、綺月初めて一位逃しちゃって……その後廊下で倒れたの」

「倒れたって相当だったんだね」

「それから二週間休んでて、多分その時奈都ちゃんのために色々頑張ってたんだと思う」


思い返せば、二週間休んだ割には全く回復して無さそうな顔だった。

それでも元気になったからって無理して笑って本当に馬鹿な子だ。

私は深いため息を零しながらベンチに座る。


「綺月ちゃんにとっては、自分の体調よりも奈都ちゃんの事が大事だったんだろうね」


今まで静かに聞いていたユキが呟く。
< 86 / 401 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop