Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
「うわ~ん!ユキ、カイがぶった!」

「カイの気持ちも分かるけど、せっきに八つ当たりするなよ」


ユキは嘘泣きするせっきの頭を優しく撫でる。

この光景は毎度よく見る光景だ。

すぐに余計なことを言うせっきに、すぐに手が出てしまうカイ、それを宥めるのがユキだ。


「八つ当たりじゃねぇよ、腹立ったから殴っただけだ」

「もう!今はそんなくだらない話してる場合じゃないでしょ!」

「俺にとってはそいつの話してる時点でくだらねぇけどな」

「あ?今なんつった?」


カイの言葉がカオルの逆鱗に触れ、苛立ちで珍しくピクピクと眉が動く。


「おいカオル、待て待て」


嫌な予感を感じ取ったせっきが一目散にカオルを押さえながら宥める。
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