Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜
その後は他愛の無い話をしながらご飯を食べ終わり、ファミレスを出た私たち。

名残惜しそうにしている菜穂と別れた私は、真っ直ぐ家へと向かう。


「すっかり遅くなっちゃったな」


いつもより遅い時間に帰ることに少し心配しながら、家の扉を開けた。

外よりも静かなこの家が、私は苦手だった。

ゆっくり廊下を歩いてリビングに向かう。


「……遅かったわね」


椅子に座り、沢山の資料を机に広げてパソコンをカタカタしている母がこちらを見ずに話しかけてくる。


「うん、キリが良いところまでやろうと思ったら遅くなっちゃって……」

「……そう、頑張ってるわね」

「うん、次も1位を取りたいから」


そこまで言ったときだった。

母はやっと顔を上げて、私を冷たい目で見た。


「……なにやっているの?」

「……え?」

「そんなとこにいつまでも突っ立ってないで、早くご飯食べて勉強してきなさい」

「……あっ……うん」


そして、家に帰ってきた子供に、この人は「おかえり」という言葉より先に、辛辣な言葉を投げた。
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