お見合い仮面夫婦の初夜事情~エリート裁判官は新妻への一途な愛を貫きたい~
どれくらいキスを交わしていたのか。終わらせたのは大知さんからで、息があがる。
不意に彼と目が合ったかと思えば、膝下に腕を回され私の体は宙に浮いた。
「わっ!」
慌てて大知さんの首にしがみつく。慌てる私とは対照的に、大知さんは颯爽と広々としたキッチンからリビングに歩を進める。
先ほどまでひとりでくつろいでいたソファに下ろされ、すぐに彼が覆いかぶさってきた。
「あ、あの」
「ケーキの前に、まずは千紗をいただこうかと」
余裕たっぷりに微笑み、ネクタイを緩める大知さんに見惚れる。どんな仕草も様になり、私の胸を高鳴らせる。
彼の顔をじっと見つめていると、大知さんが気の抜けたような笑みを浮かべた。
「本当に……千紗にはかなわないな」
私の頭をなでながら、大知さんはつぶやく。
「何色にも染まらないようにと黒の法服を着ているが、千紗だけは特別なんだ。いつも俺の心をかき乱して、感情を揺さ振っていく」
それは私も同じだ。男性が苦手な私が彼に恋をして、切なさも愛しさも知った。姉に対する劣等感を刺激され、それでも私は私でいいんだと彼ははっきり言ってくれる。ありのままの私を愛してくれるから。
大知さんに恋に落ちて、それは今も続いている。
「私も同じです。大知さんだけなんです」
昔からの知り合いだからとか、裁判官とかは関係ない。今も昔も私が求めているのは、大知さんだけだ。
不意に彼と目が合ったかと思えば、膝下に腕を回され私の体は宙に浮いた。
「わっ!」
慌てて大知さんの首にしがみつく。慌てる私とは対照的に、大知さんは颯爽と広々としたキッチンからリビングに歩を進める。
先ほどまでひとりでくつろいでいたソファに下ろされ、すぐに彼が覆いかぶさってきた。
「あ、あの」
「ケーキの前に、まずは千紗をいただこうかと」
余裕たっぷりに微笑み、ネクタイを緩める大知さんに見惚れる。どんな仕草も様になり、私の胸を高鳴らせる。
彼の顔をじっと見つめていると、大知さんが気の抜けたような笑みを浮かべた。
「本当に……千紗にはかなわないな」
私の頭をなでながら、大知さんはつぶやく。
「何色にも染まらないようにと黒の法服を着ているが、千紗だけは特別なんだ。いつも俺の心をかき乱して、感情を揺さ振っていく」
それは私も同じだ。男性が苦手な私が彼に恋をして、切なさも愛しさも知った。姉に対する劣等感を刺激され、それでも私は私でいいんだと彼ははっきり言ってくれる。ありのままの私を愛してくれるから。
大知さんに恋に落ちて、それは今も続いている。
「私も同じです。大知さんだけなんです」
昔からの知り合いだからとか、裁判官とかは関係ない。今も昔も私が求めているのは、大知さんだけだ。