【SR】幸せな結婚
明くる日、帰宅するなり英太が、一週間ほど九州へ出張することになったと困ったような顔で言った。
高熱を出した同僚の代わりに、急遽ピンチヒッターとして飛ぶことになったのだった。
亜弥は少し不安になった。
引っ越してまだ数日の慣れない環境。
その中で、唯一頼れる英太がいないというのはやはり心細い。
英太のいない間、自分はあの義母とうまくやっていけるだろうか――。
遅くなることもある義父が帰宅するまでの時間、あの義母と二人で過ごす時間を想像すると気分が重い。
不安そうな表情を浮かべた亜弥を見て、英太は静かに頭を撫でた。
「新婚早々ごめんな。
オレも寂しいけど、一週間なんてあっというまさ。
電話は毎日するから、少しだけ我慢しような」
会社の事情もよく知っている亜弥は、黙って頷くしかなかった。