【SR】幸せな結婚
8時半を過ぎた頃、玄関のドアが開く音がした。
「ただいま」
リビングに顔を覗かせた義父は、そのまま隣接している自分の部屋へと向かった。
仕事場にしている和室は、机の上に乱雑に本が積まれ、床にも高く積み上げられている。
ノートパソコンも、使い終えて閉じた瞬間からその上に書類が積み上がっていく有様だ。
義母も、そのすさまじさに、掃除どころか足を踏み入れることすら拒んでいるらしい。
義父は、自分の秘密基地だと笑う。
「おかえりなさい。今日も忙しかったんですね」
亜弥は、ラップ材の掛かったブリ大根をレンジに入れた。