【SR】幸せな結婚
「悪いね、夕食任せっきりになって。
まったく、母さんと文美はうり二つだよ。
気まぐれだし、思ったことは実行しないと気が済まないんだから。
こうしてふらふら遊びに出かけられるのも、亜弥さんがしっかりしているからだ。
感謝はしていると思うから、どうか許してやってな」
背広を脱ぎ、ハンガーに掛ける手つきも慣れたものだ。
義母はこういうことを一切しない。
自分でするものだと刷り込まれている義父は、それを当たり前かのようにこなしてゆく。
亜弥はそんな義父の姿を見るたびに、なんだかかわいそうだと心を痛めた。
――義父は、義母と結婚して幸せだと感じているのだろうか。