【SR】幸せな結婚
「いただきます」
湯気の上がるブリ大根に鼻を近づけ、おいしそうだと顔をほころばせた。
「お口に合うかどうか」
亜弥は恥ずかしそうな顔で俯いて、里芋のみそ汁を一口すすった。
得意料理であっても、やはり初めて食してもらう瞬間は落ち着かないものだ。
「いやあ、本当においしい。
英太は幸せものだな。こんなに家庭的な奥さんを迎えることができて」
優しさで構成されていると言ってもいいような義父の柔らかな表情は、見た者の顔をも緩める。
つられて頬がゆるんだ亜弥は、義父の顔をぼんやりと眺め続けた。
笑った顔が英太とよく似ている。
……いや、違う。
英太が義父によく似ているのだ――。