【SR】幸せな結婚
当時、W商業は若い男の教師が多かった。
熱を上げる女子生徒も多く、学園祭などのイベントには、一緒に写真を撮ってとせがむ場面もあちこちで見受けられた。
内気な亜弥は、そんなに積極的な行動を起こすことができない。
寿生への思いは誰にも打ち明けず、胸の内に秘めたものだったから、友達に協力して貰うこともできなかった。
しかも、若い男性教師ならまだしも、相手は43歳の中年教師だ。
そんな現実味のない恋など、一体誰が本気で応援してくれると言うのだろう――。
見つめ続ける日々のまま、2年生になった。
担任教師は、1年の時のまま持ち上がりだった。
当然、今年も寿生が国語を担当することがないのは確定となる。
亜弥は愕然とした。
自分の運のなさを恨んだ。
そして、そんなことに頼らなければ何もできない、自分の勇気のなさを悔やんだ。