【SR】幸せな結婚
挙式を二人だけでしたいと希望したのは亜弥の方だった。
「うちは母しか家族がいないし、大々的にお式を挙げる身分じゃないから……」
英太は元々、ありきたりなホテルでの披露宴などするつもりもなかった。
貯蓄も十分に無かったし、自分たちの挙式に親の援助など受ける気は一切ない。
一生に一度の晴れの舞台。
女性がそこに抱く思いというものを、理解しているつもりだ。
だから、できる限り亜弥の希望を叶えてやりたいと思っていた。
遠慮がちに要望を言う亜弥に、これ以上気を遣わせるのも可哀想だと、英太は二人だけの挙式に同意したのだった。