【SR】幸せな結婚

3年生の春、寿生はK高校へ異動になった。

亜弥は部屋に籠もって涙がかれるほど泣いた。

学校に行くのも、生きていくのも嫌になり、仮病を使って3日ほど学校を休んだ。


淡い恋は、淡い思い出のまま終わるのだろう。

きっと、そういう風にできているのだ――。


亜弥は自分を慰めるように何度も言い聞かせた。

意識にそう刷り込ませ、行き場の失った自分の気持ちを抑えようと必死だった。


だが、気付けば校舎のあちこちで、いつも寿生の姿を探している自分がいて、その度にまた涙を滲ませる日々を過ごした。




女子高生が教師にほんのり抱く、憧れなどではない。

初めは確かに、幼い頃の父親の記憶に重ねていたが、時間の経過で確実にそれは別の感情へ変化した。


私は、一人の男性として溝呂木先生のことが好きなのだ――。

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