【SR】幸せな結婚
「なんだか不思議ですよね。
今はこうやって家族になって、一緒に食事をしているなんて」
そうだな、と寿生は大きく頷いた。
数年ぶりに自分の元に戻ってきた手の中の時計を優しく包み、愛おしそうに撫でている。
学校から寿生の姿がなくなった後も、その時計があるから頑張れた。
時計を見つめ、寿生の笑顔を思い出していた。
頬にそっと寄せ、寿生のぬくもりを思い出していた――。
だが、もう時計に重ねる必要はない。
今はこうして、目の前に愛しい人がいるのだから――。
「私、本当に嬉しいんです。
数年間想い続けた好きな人と、一つ屋根の下にいられること――」
「え……」
「先生……私、ずっと好きでした――」