【SR】幸せな結婚
「本当に幸せ――。
初めての人が先生で良かった……」
軋む音の止んだリビングのソファで、寿生が持ってきたタオルケットに顔を半分ほど埋め、亜弥は呼吸を整えながら言った。
一方寿生は、何とも言えない複雑な気持ちのままTシャツに腕を通していた。
いくら勢いだったとしても、やはりまずいことをしてしまった――。
欲望を排出した後、自分の中に残ったものは苦い後悔だった。
「……ゴミの日は……いつだったかな」
後始末を丸めたティッシュペーパーを持ち落ち着かない寿生に、亜弥はくすっと笑った。
「先生、大丈夫です。私がちゃんとやりますから」
「……その……先生ってのもまずいな、確かに私は教師だが……」
「分かっています。心配しないで下さい。
二人以外の時は、ちゃんとお義父さんって呼びますから」
すっかり亜弥のペースに巻き込まれていると気付いたが、もう取り返しはつかない。
妻にも息子にも、どんな顔をして会えばいいのだろう――。