【SR】幸せな結婚
静寂を破るように、亜弥の携帯電話が突然鳴り響いた。
「もしもし……あ、お疲れ様。
うん、大丈夫。さっきお義父さんと食事を終えたところよ。
うん……そうね……あと3日の辛抱だもの、頑張るわ。
――やだ、子供じゃないんだから平気よ、ウフフ。
じゃあ、お仕事頑張ってね」
電話の相手が英太だとわかった瞬間から、寿生はまた落ち着かなくなった。
英太もまさか、数分前までこの二人が本当は何をしていたかなど、疑いもしないだろう。
もう少し、早く電話が掛かってきてくれていたら――理性が戻っていたかもしれないのに。
英太のタイミングの悪さを恨んだ。