総長は、甘くて危険な吸血鬼

『叶兎、くん…？』


暗くて表情は見えないけど、不安そうに俺の名前を読んだ


「少しは落ち着いた？今夜はここで寝ていいから、ほら、目閉じて」


胡桃は静かに頷くと、しばらくしてスースーと静かな寝息が聞こえてきた。

よかった、眠れたみたい。


「……胡桃」


そっと、胡桃の髪の毛を撫でる



「…これから先、面倒な事に巻き込んでしまうかもしれない」



手が届くうちに、守らないと。

手が届かないところに行ってからじゃ間に合わない。




さっき、何ヶ月かぶりに秋斗が帰ってきて、手に入れた情報を全て聞いた

胡桃が、BlackSkyに狙われている理由も。



BlackSkyの総長、天羽朔は、どうやら胡桃の事を知っているらしい。それどころか、胡桃のことを好いていると。

そして彼は、契約をするために胡桃を探している。

吸血鬼の契約ーーー花嫁の契約

本来は両思いの相手としか交わすことはできないが、ちゃんと手順を追って儀式を成功させれば契約することができてしまう。