総長は、甘くて危険な吸血鬼
「妹は我儘だし弟は生意気だけど、何だかんだ甘やかしちゃうんだよねー。」
天音くんの兄妹って考えると、何だか少し想像がつく
そうやって話してる天音くんの表情は、1人の兄としての顔だった。
叶兎くんは妹いるし…アジトで話した流風くんも弟がいるって言ってたな…
「でも…俺はあいつらの事を守ってやれなかった」
『“守ってやれなかった”…?』
どういう事だろう、守る…?
遠くの空を見つめて、天音くんはそう言った。
“どういうこと?”
そう聞き返そうとしたけど
「なんて、今更考えても遅いんだけどね。そろそろ戻ろっか」
そう言って椅子から立ち上がった天音くんにその言葉は阻まれた。
ものすごく気になるけど、聞かれたくないのかもしれない。
だから、それ以上は追求しなかった
「盗み聞きとは感心しないなー、“秋斗くん”」
ベランダの扉を開けたところで、天音くんが言った。
そこには九条くんが立っていて、若干天音くんを睨んでいるように見えた。
「朝飯、出来たから呼びに来ただけだが?」
「それはどうも。じゃ、失礼。胡桃ちゃん付き合ってくれてありがとーね」
険悪ムードな空気を漂わせながら先に中に戻って行った天音くん
何だろう、この2人ってもしかして仲悪い?