総長は、甘くて危険な吸血鬼
「胡桃、アイツに何かされたか?」
『何もされてないよ?』
天音くんが離れたのを確認してから九条くんは話し始めた。
どうしてそんな事聞くんだろう?
「アイツとは2人きりになるな」
九条くんの言ってることの意味がよく分からない、
天音くんと2人になるとまずい事でもあるのだろうか。
「これ以上の事は言えねぇけど…アイツといる時は、警戒心を持て。分かったか?」
『…分かった』
真面目な表情で真っ直ぐ私を見て言ってくるもんだから、分かったと答えるしかなかった…
九条くんと天音くん、何か隠してる…?
「叶兎がそばにいれねぇ時は俺が守ってやる。まぁ昨日来たばっかの俺に信頼もクソもねぇと思うが…信じてくれたら嬉しい」
別に九条くんのこと信じてないとかそういう訳じゃないけど…
何でいきなりそこまでしてくれるんだろう
「俺は叶兎に大きな恩がある。アイツの大事な物は全部俺にとっても大事なんだ。だからお前の事も、守りたい」
そう言って私の目を見る彼の瞳は、真っ直ぐな瞳だなって、思った。
九条くんは、嘘はついていない。どことなく、叶兎くんに似た雰囲気がある。
天音くんの事も、何か言えない理由があるのだろう。
「ほら、飯が冷めるから早く戻ってこい」
『…うん。ありがとう、九条くん。』
九条くんと初めて話したのは昨日なのに、
この人は信じても大丈夫
何故だかそう思えた。