総長は、甘くて危険な吸血鬼
ふと、
ある言葉が頭をよぎった。
“アイツとは2人きりになるな”
“これ以上の事は言えねぇけど…アイツといる時は、警戒心を持て。分かったか?”
今朝、九条くんに言われたこの言葉
何で今になって思い出したのか分からない
「俺は………この場所が好きだ。これは、嘘じゃない…」
『え…?』
いつも明るい天音くんが、無気力に、呟くようにそう言った。
天音くんは時々よく分からない事を言う
でも今の言葉は…ますます意味が分からない
____ギシ
天音くんが、私の顔の近くに手をついた。
そしてゆっくりと、
距離を近づけてきて…
……ま、待ってこの流れって
『あの…天音くん待っ…』
その時、廊下の方からドタドタと走る足音が聞こえてきて
天音くんは即座に私から距離を取った。
「おーおかえり、叶兎」