総長は、甘くて危険な吸血鬼

はぁ…と息を切らしながら叶兎くんが保健室に入ってきた

さっきの足音からして走ってきたのだろう。


「生徒会の仕事ひと段落したからちょっと抜けてきた。……お前、胡桃に何もしてないだろうな?」

「してないよー。さっきまでぐっすり寝てたし。」


じとー…と天音くんを見る叶兎くん


「じゃ、お邪魔だと思うから俺はこれで、胡桃ちゃんお大事にねー」


そんな視線をよそに、
天音くんは何事もなかったかのように立ち去って行った。

何もされてはいないけど…されそうにはなった気がする…


『あの…叶兎くん、さっきはありがとう』


寝そべったままチラッと叶兎くんの方を向いて、ひとまずお礼を言った。

そしたら叶兎くん、
さっきまで天音くんが座ってた椅子に座って、
またもやじとりとした視線を、今度は私に向ける。



「あのさぁ……今朝俺が言った事覚えてる?」



今朝?

若干お怒りな叶兎くんの視線を感じて返答を考えるけど、特にこれと言って思いつく言葉はない。

何か重要な事なんて言われたっけ…?

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