総長は、甘くて危険な吸血鬼
『春流、くん…?』
笑みを浮かべた春流くんの口元から微かに見える牙のようなもの、
…この人、吸血鬼だ。
そう理解した時には
春流くんの口元が私の首元に触れていて
『いた…っ……!』
静かな広い部屋の中で、春流くんが私の血を吸う音だけが響いた。
____吸血鬼と人間にも、相性というものがある。
相性が良ければ、痛いよりも、快感、幸福を強く感じるらしい。
う…なに、これ………
すごく変な感覚…
ついさっきまで吸血鬼の存在なんてほとんど認識していなかったのに
まさか、血を吸われるなんて
『ちょ、ちょっとっ…春流く…』
「………やっぱり甘い。ねぇ、胡桃ちゃんって___」
ここで、段々と意識が薄れてきて
「春流、…お前何してんの?」
どこからか聞こえてきた誰かが言ったその言葉を最後に
私の意識は途切れてしまった