総長は、甘くて危険な吸血鬼


教室に入ると、心音ちゃんに小声でそう言われて
奥の隅の方を見ると叶兎くんと春流くんがいた。

叶兎くんは赤と黒がベースのスーツに大きいマントで、
多分これは吸血鬼のコスプレ。

本人吸血鬼だからコスプレじゃない気がするけど…。


そして春流くんは叶兎くんとは反対に、
白をベースにした衣装で、the王子様っていう雰囲気。

何だかこの2人のところだけ輝いていて空気感が違う気がする



いつもなら人だかりができているのに今日は珍しく人だかりがなくて、
その代わりに2人から若干離れた位置にいる女の子達がじっと視線を向けている。

多分、近づきにくいんだろう。



私もじーっと叶兎くんのことを見ていたら、
その視線に気付いたのか一瞬だけ目が合ったけど、ふいっと逸らされた。


『…ね、ねえ今目逸らされたんだけどやっぱり似合ってないのかな…?!』


あの感じ結構傷つくんだけど!!
と心音ちゃんに小声で言ったら



「いやー、あれはそういうのじゃないと思うよ?」



そういうのじゃないって何…!
今からでも裏方の人にシフト交換お願いしたい…


一応、コスプレカフェとは言っても「カフェ」なので
数人は裏で食材担当の係がいて、
じゃんけんで私勝ったはずなのに何故かコスプレをやらされている


そう、他でもない叶兎くんのせいです…!!


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