総長は、甘くて危険な吸血鬼


「胡桃ちゃん。叶兎って胡桃ちゃんが思ってるよりかなり独占欲強いから気をつけなよー」


隣にいた春流くんが私の耳元で小声で言った

“独占欲”という言葉に、少し心が動揺する

そしたら叶兎くんに肩を後ろに引かれて、


「近い」


と、春流くんに向かって言う。


「ほらね、言った通りでしょ?」


“友達だからって俺の彼女に気安く触るなよ”とでも言いたげな顔で春流くんに視線を投げる叶兎くんをよそに、春流くんは「ははっ」と笑いながら、私を見た。


「ちょっと、胡桃に変な事吹き込むなよ」

「事実を言っただけだよ。ね、胡桃ちゃん!」


ね!

と言われても…!

この前叶兎くんの部屋にいる時ばったりあった時もそうだけど、こんなふうに叶兎くんをいじれるの春流くんだけだと思うよ…

私はこの前叶兎くんをいじったら返り討ちにあったので軽率に変な事言うと私の心臓が持たない。

でも、叶兎くんも春流くんには生徒会の他のみんなより対応が甘い気がする。天音くんとかにはいつもトゲトゲしてるし、桐葉くんは相手が生徒会長だろうが総長だろうが思ったこと全部言うから、先生とやんちゃな生徒を見ているような気分になる。

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