総長は、甘くて危険な吸血鬼
「似合ってるよ、その服」
桐葉くんが笑って、ポンと軽く私の頭に触れた。
…… 優しい笑顔
『あ、ありがとう…?』
けどあまりに突然の事だったので数秒固まってしまった
え、桐葉くんってこんな感じだっけ…?
囲まれるのは得意じゃないと言いつつもしかして普段からこんな感じなのかな
これが本当のギャップっていうやつ…
「…っ悪い、今のは無意識だった。忘れてくれ。」
桐葉くんは視線を横に向けたまま自分のメガネを軽く押した
いや、そっちに照れられると困るんだけど…?!
「ごめんお待たせー!ってあれ、2人ともどうかした?」
なんて返したらいいか分からず微妙な沈黙が流れていた所に、教室から出てきた天音くんが入ってきた。
「何もない。それよりまだ仕事は山ほどあるんだ、次行くぞ」
「うわっいきなり掴まないでよ」
桐葉くん、天音くんの腕をガシッと掴んで
「じゃ、文化祭楽しめよ」
「うちのクラスお化け屋敷やってるからあとで是非おいでー」
そう言って天音くんは桐葉くんに引っ張られたままそのままどこかへ行ってしまった。
天音くんのクラスはお化け屋敷かー、………高校3年生のお化け屋敷って、めちゃくちゃ怖いんだよな…
「…あの、すみません」