総長は、甘くて危険な吸血鬼
「ちょ、彼氏超イケメンじゃん」
「これは勝ち目ないって…」
後ろにいた2人の男の子達がそんなことを言っているのが聞こえた。
うんうん、叶兎くん超イケメンだよね、わかる。
ってそうじゃなくて…!
「じゃあ、写真だけでも__」
「ダメだよ」
叶兎くんに圧をかけられて流石に怖気付いたのか、しつこかったその男の子達は「し、失礼しました!」とだけ言って走って去って行った。
『ありがとう、私ああいうの慣れてなくて……。叶兎くん?』
叶兎くんは無言のまま、
私の肩を抱いていた手を腰に回して後ろからぎゅっと抱きしめてきた。
『ちょっ、ここ廊下だよ…?!』
普通に廊下の目の前なので通りすがりの人に見られるし、そもそも叶兎くん自身が立ってるだけで目立っている
「やっぱコスプレさせなきゃよかった、胡桃の可愛さがバレる」
叶兎くんてば、またそういう事を…!
というか私は最初からコスプレなんてするつもりなかったけどやれって言ったの叶兎くんなのに、矛盾している。
知らない男の子に声をかけられるのは予想外だったけど、こう言ってるってことは可愛いって思ってくれてるって事かな。さっきみたいなのは嫌だけど、叶兎くんに可愛いって思ってもらえるならコスプレも悪くないかも、って少しだけ思った。
…好きな人には、1番可愛い自分を見て欲しいし
……って、何だかんだ私も叶兎くんにベタ惚れだな