総長は、甘くて危険な吸血鬼
後ろから私の首筋に手を当ててそのまま鎖骨あたりをすーっと撫でられたので、くすぐったくてパシッと叶兎くんの腕を掴んだ。
単にくすぐったかったからじゃない、
触り方が…その、血を吸おうとしている時と同じだったから…
『……今吸おうとしてた?』
「ダメ?」
ダメ?って言われても…!!
流石にこんな人通りのある場所で吸われるのは困る、流石に
いや、“水分補給!”みたいなテンションで一瞬でパパッと吸うなら全然良いんだけど、叶兎くんの場合一回もそんな一瞬で終わった事がない。というかいつも吸血だけで終わらない…
『今はダメ…!血なら後であげるから、ほら教室もどろ!!』
私は叶兎くんの腕の中から無理やり抜け出して、教室に向かいながらそう言った。
教室に戻るとすぐにキッチンの方から呼ばれて、
そこから30分ぐらいはずっと大忙し。
基本的には、注文をとって飲み物や料理をテーブルに運んだり案内したりという仕事だ。
『こちらご注文の品になります!』
「ありがとう。」
飲み物を注文していた夫婦の席に商品を置いて、立ち去ろうとした時
その夫婦があまりにも綺麗な容姿をしていたのでつい、じっと見てしまった。
「…どうかしましたか?」
『あっ、すみません!綺麗な方だなと思って…』
凄く綺麗な銀髪の女の人と、サラサラの黒髪の男の人、
何だか、初めてあったはずなのにどこかで会ったことがあるような気がする。
「ふふ、ありがとう。あなたもとっても可愛いわよ」
『あ、ありがとうございます…!』