総長は、甘くて危険な吸血鬼


やっと、全ての違和感の正体が分かった気がした

その赤い瞳は叶兎くんと同じ色で、

あの容姿の綺麗さからして彼らは吸血鬼、

そしてさっきまでの2人の会話内容。


多分あの2人は、叶兎くんの両親だ。


だから、初めて会ったのにどこかであったことがあるような気がしたのだろう。


私、叶兎くんのご両親にあんなペラペラと…。

好きな人の親に、好きな人の好きなところ言わされるってだいぶ公開処刑じゃないですか…?

とりあえず変なこと言わなくてよかった…


そんなことを考えながらテーブルの片付けをしていたら
トントン、と背中を叩かれて、
振り返ると高校生くらいの男の子が席に座っていた。

…注文かな?



『ご注文で__』


「ねぇ、くーちゃん」



“ご注文ですか?”、
そう聞く前に、彼の言葉に遮られた。



『……え?』



そして私を、“くーちゃん”と呼んだ

この呼び方をする人を、私は1人しか知らない。


「久しぶりだね。僕の事、覚えてる?」







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