総長は、甘くて危険な吸血鬼
教室を出る直前朔は振り返って、
「くーちゃん、待っててね。またすぐに会えるから」
そう言い残して出て行った。
また会えるって何だよ
あれだけ牽制したのにまだ胡桃に何かするつもりなのか
…とりあえず、今は文化祭中だ
ひとまずこの騒ぎをどうにかしないと
クラスメイトも、うちのクラスに遊びに来ていたお客さんもみんな黙ったまま立っている
「叶兎、一回胡桃と休んできなよ。あいつの件で話したいこともあるだろうし」
春流にそう言われたけど、騒ぎを起こした張本人がこの状況放って出ていくのは生徒会長としてのプライドが…
いや、もうプライドもなにもないか。
「あとお前がいると目立つ!騒ぎが大きくなる。ここは俺が何とかするから」
「…ありがと、春流」
「おう」
胡桃と話したいことがあるのは事実だし、春流にそう言われたら春流に頼るしかない
俺は胡桃の手を取って、騒ぎから逃げるように生徒会寮の方へ走り出した。
『えっ、叶兎くんどこ行くの!?』
「……」
『叶兎くんってば…!』